ホイッスルボイスとは?出し方の基本や練習方法、注意点を詳しく解説

ボイストレーニング

2024/10/18

投稿者: 西 貴正

ホイッスルボイスとは?出し方の基本や練習方法、注意点を詳しく解説

ボーカリストはホイッスルボイスを身につけることで、歌に迫力を出したり、ほかのボーカリストとの差別化を図れたりするでしょう。

 

ホイッスルボイスとは「超高音発声」として用いられる、人間が出せる一番高い声を指します。

 

とても魅力的な発声方法ですが、使いこなせる方が少ないため、無理な練習は声帯や喉の筋肉を痛める原因となってしまいます。

 

今回は、ホイッスルボイスの具体的な出し方と練習方法、注意点を解説します。ホイッスルボイスをマスターしたい方は、ぜひ参考にしてみてください。

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ホイッスルボイスとは?

ホイッスルボイスは上級者向けのテクニックの1つとされています。

 

ホイッスルボイスを練習する前に、まずはどのような発声方法なのかを知っておきましょう。詳しく解説していきます。

人が出せる一番高い声のこと

「超ハイトーンボイス」「超高音発声」ともいわれるホイッスルボイスは、「人が出せる最も高い声」です。歌声というより、「笛のような音」とも表現されることから、この名称が付いたとされています。

 

発声方法は特殊で難易度が高いものの、技術を身につけることで歌にインパクトを出したり、聴衆を魅了する表現ができたりするでしょう。

 

ホイッスルボイスは出せるようになっても、歌のメロディとして取り扱うことが非常に難しいのも特徴です。特に子音をつけて発声することが難しいため、歌詞を歌うのはさらに難易度が増します。

上級者向けのテクニックの1つ

ホイッスルボイスは上級者向けのテクニックの1つです。ホイッスルボイスは、声帯をほとんど振動させずに発声します。

 

そのため、歌で用いられることの多い発声方法(チェストボイス・ミックスボイス・ヘッドボイスなど)とは一線を画すものです。もしホイッスルボイスが出たとしても、それだけで歌が上手くなるわけではありません。

 

また、ホイッスルボイスだけで歌い続けることはないので、あくまで表現の1つとして用いることが理想です。歌のどこに用いるのか、そのセンスを鍛えることも重要なポイントです。

【3ステップで解説】ホイッスルボイスの基本的な出し方

トレーニング中の様子

ホイッスルボイスの基本的な出し方は、以下の3ステップです。

 

  1. ファルセットの最高音を出す感覚をつかむ
  2. 声を出せない状態を作るコツをつかむ
  3. 声を出せない状態を作ったまま軽くファルセットの最高音を出す

 

それぞれ詳しく見ていきましょう。

ステップ1. ファルセットの最高音を出す感覚をつかむ

まずは、ファルセット(裏声)の最高音を出す感覚をつかむことから始めましょう。

 

ファルセットの最高音を出すと、だんだん声が出せなくなります。これは、声帯の振動が止まっている状態です。この状態を活かし、声帯のほんのわずかに開いた穴から音を出すのがホイッスルボイスなのです。

 

ステップ1として、ファルセットの最高音のときの感覚をつかんでください。

ステップ2. 声を出せない状態を作るコツをつかむ

次に、声を出せない状態を作るコツをつかみましょう。

 

ファルセットの最高音あたりになると、声が出せなくなります。その際、力が入ってもよいので、舌の奥のあたりを上顎にくっつけるイメージで、口からの音をシャットアウトさせます。

 

声が出せない上に、息の流れまで遮断されたのがわかると思います。ここまでは力が入っていても構いません。

ステップ3. 声を出せない状態を作ったまま軽くファルセットの最高音を出す

最後に、ステップ2の状態のまま上顎に当てていた舌の奥を少しずつ緩め、軽くファルセットの最高音を出してみてください。

 

その際に細く、小さく、甲高い動物の鳴き声のように音を漏れさせます。この感覚が掴めるようになったら、その音のまま伸ばしてみたり、音程を変えてみたりしましょう。

 

今までに出したことのない声を駆使する感覚を養ってください。これがホイッスルボイスの種です。

ホイッスルボイスが上手くなる!身につけておくべき発声法

ホイッスルボイスの習得において、身につけておくべき発声法を紹介します。必ずしも必要ではありませんが、そのほかの発声方法を習得することで、感覚が掴みやすくなる可能性があります。

 

ホイッスルボイスが上手くなるためにマスターしておきたい発声方法は、以下の通りです。

 

  • ミドルボイス
  • ヘッドボイス
  • エッジボイス
  • 吸気発声

 

1つずつ解説します

ミドルボイス

地声と裏声が混ざった中間の声をミドルボイス(またはミックスボイス)といいます。

 

ミドルボイスを身につければ、喉の力を抜いて中~高音域を力強く出せるようになり、ミドルボイスの基礎力となるでしょう。

ヘッドボイス

ヘッドボイスの発声方法のイメージとしては、裏声を鼻のあたりに向かって出し、その裏声を頭のてっぺんに響かせるように出します。ヘッドボイスをマスターすることで、ノイズの入らないクリアな高音が出せるようになります。

 

ヘッドボイスの感覚のままホイッスルボイスに移行できる方もいます。そのため、ヘッドボイスの習得はやっておいて損はありません。

エッジボイス

声帯を閉じて「あ゛あ゛あ゛」とホラー映画のワンシーンのように発声する方法がエッジボイスです。ボイストレーニングにも使われています。

 

出し方としては、喉の力を抜き、軽く息を止めた後に低い声を出すことで感覚が掴めるでしょう。

 

エッジボイスは適度な声帯の閉鎖力が鍛えられるため、ホイッスルボイスの習得に役立つ可能性も高まります。

吸気発声

呼気発声は息を吸いながら発声する方法で、「引き笑い」をイメージするとわかりやすいでしょう。

 

息を吐ききった後に、息を吸いながら発声するとやりやすいので試してみてください。少ない息の量で高音を出す練習にもなります。

 

この発声は「デスボイス」など、ハードな印象の発声を多用するジャンルの音楽において用いられます。そのため、荒々しく力強い印象のホイッスルをするのに役立ちますが、音程のコントロールなど取り扱いも難しいのが特徴です。

ホイッスルボイス練習時の注意点

歌う女性

ホイッスルボイスの練習をする上で注意したい点は、以下の通りです。

 

  • 体調のよいときにリラックスしておこなう
  • 喉の痛みを感じたら中止する
  • 短時間にとどめる
  • 難しい場合は専門家の指導を受ける

 

ホイッスルボイスの無理な練習は、声帯に大きなダメージを与えてしまいます。必ず上記の点に注意しましょう。

体調のよいときにリラックスしておこなう

ホイッスルボイスの練習は、体調と喉の調子がよいときにおこないましょう。ホイッスルボイスはその音からは想像ができないほど軽く、リラックスした状態でないと発声ができません。

 

声帯のストレッチなどをおこなって喉と体の状態を整え、万全の状態で練習しましょう。

喉の痛みを感じたら中止する

ホイッスルボイスの練習中に喉の痛みを感じるようなら、やり方が間違っている恐れがあります。

 

喉の痛みがあるときは練習を中止し、発声方法の基礎を見直してみましょう。

短時間にとどめる

すべての発声練習においていえることですが、普段出し慣れていない発声は、正解がわかりません。そのため、長時間練習をおこなってしまいやすい傾向にあります。

 

短時間で集中し、少しでも喉に違和感が出たら練習を中止しましょう。最初は5分程度など短時間にして、喉の様子も見ながらおこなうとよいでしょう。

難しい場合は専門家の指導を受ける

ホイッスルボイスは、発声方法のなかでも高度な技術です。「ホイッスルボイスが出ているのか出ていないのかわからない」とお悩みの方もいるかもしれません。

 

発声方法の基礎的な訓練を一度も受けたことがない状態でホイッスルボイスを身につけたい方もいるでしょう。その場合は、ボイストレーナーなど専門家から指導を受けることをおすすめします。

ホイッスルボイスが出せる歌手は?

高度な技術が必要とされるホイッスルボイスは、実際に使いこなしている歌手を参考にするのも効果的です。

 

ここでは、ホイッスルボイスが出せる歌手と、ホイッスルボイスが特徴的な曲を一覧で紹介します。

 

歌手名 曲名
MISIA つつみ込むように…
清水美依紗 High Five
清貴 The Only One
京(DIR EN GREY) 激しさと、この胸の中で絡み付いた灼熱の闇
ミニー・リパートン Lovin’ You
マライア・キャリー Emotions
アリアナ・グランデ Baby I

 

ホイッスルボイスを出せる歌手から学ぶと、より具体的にイメージしやすくなるでしょう。簡単に真似できるものではありませんが、ぜひ参考にしてみてくださいね。

ホイッスルボイスは基礎発声が完璧な状態で練習しよう!

ホイッスルボイスは声門を閉じ、声帯を微弱に振動させることで高音を出す極めて特殊な発声方法です。身につけることで、歌に迫力や個性が出るものの、発声の基礎をマスターしていないと練習は難しいといえます。

 

ホイッスルボイスを練習する際は、少しでも喉に違和感を覚えたら中止し、基礎が身についていない場合は一度専門家の指導を受けることが上達の近道となるでしょう。

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