ボイストレーニングで声量をあげる効果的な4つの方法
ボイストレーニング
2021/06/30
バンドボーカルは、大音量の演奏に合わせて歌うので、楽器の音に負けないくらいの声を出す必要があります。いくらマイクを使っても、元の声量が小さいと演奏の音にかき消されてしまいますので、ボイストレーニングで声量アップを目指しましょう。
今回は、ボイストレーニングで声量を上げる方法や、トレーニングでの注意点について解説します。
ボイストレーニングで声量を上げる方法
声量を上げるためのボイストレーニングにはいろいろな種類があります。
ここでは、毎日続けやすいボイストレーニングの方法と、具体的なやり方を4つご紹介します。
1. 腹式呼吸を意識する
腹式呼吸とは、横隔膜を上下させて空気を取り込む呼吸法のことです。肺や胸を開いて呼吸する胸式呼吸に比べて、より多くの空気を取り込むことができるため、高い音や伸びのある声を出せるようになります。
また、呼吸の浅い胸式呼吸で長く発生すると喉を痛める原因となりますが、腹式呼吸なら喉に余計な負担をかける心配がありません。
腹式呼吸のやり方は、息を吸う時にお腹を膨らませ、吐く時にお腹を凹ませます。息を吸う時も吐く時も、ゆっくり長い時間をかけるのがポイントです。
姿勢が乱れているとうまく呼吸できないので、背筋をしっかり伸ばし、顎を引いた状態で練習しましょう。正しい姿勢がわからないときは、壁に背中をつけ、猫背にならないよう注意しながら練習すると効果的です。
歌うときはもちろん、日常でも腹式呼吸を意識して生活すれば、自然と張りのある声を出せるようになります。
2. 「口の開き方」と「響き」を意識する
大きい声を出すためには、とにかく口を大きく開ければいいのではないかと思っている方も多いと思います。実は、外側から見た際の口の大きさはあまり重要ではありません。
声量をあげるためには、「声を響かせるためのスペースを、口の奥に確保する」ことが大切です。
ここからは、響きを作ることができる正しい口の開き方をご紹介します。
まず、上下の歯に1本半〜2本の指が入る位に口を開きます。
この時、表情筋や唇を引き上げるようにして、上下の歯がしっかり見えるようにしましょう。
ポイントとしては、舌の力を最大限抜くようにすることです。
どうしても力が入ってしまう場合は、下の歯や顎を少しだけ前に出し、唇を左右に広げてみてください。そうすることで自然と舌が広がり、口の奥のスペースが広がっていくのを感じることができます。
発声練習をする前や曲を歌う前に、正しい口の開き方になっているかを一度チェックしてみましょう。口の中に響きが生まれることで、軽い力でも声がよく通るようになります。
3. 正しい姿勢を意識する
声を遠くに飛ばすためには、体に余計な力が入らないバランスの取れた姿勢を作ることが不可欠です。腹式呼吸で作った息の流れを止めないように、通り道を作ってあげるようなイメージです。
それでは、ストレッチから正しい姿勢の作り方までを見ていきましょう。
- 手のひらが上になるように両手を組み、できるだけ高く持ち上げます。
- その状態で上を向き、舌をしっかり出し、口からゆっくりと息を吸います。この時、喉や胸の内側がひやっと涼しくなるのを感じましょう。
- 息を吸い切ったら、3秒間ほど体を伸ばしたままキープします。
- 口を閉じ、鼻から息をゆっくり吐きながら、顔と腕をおろしていきます。顔は真正面、腕は深呼吸をするように横側におろしていき、肩と水平になる位置までおろします。(T字のような体制)
- 首・肩・胸といった上半身の位置を変えずに、腕だけの力を抜いておろしていきます。この時、首が真っ直ぐ上に少し伸びているような感覚を保てていれば、肩や胸の位置も変わりにくくなります。
ポイントは、上半身(首・肩・胸)を持ち上げたまま、腕だけの力を抜いていくことです。(1)~(5)までの手順を終えた後、自然と腕と胸の間に隙間ができていれば、良い姿勢を作れているということになります。
4. 表情筋を鍛える
表情筋とは顔に走っている筋肉のことで、名前の通り、表情を作るときに動かすものです。中でも頬や口周りの筋肉は「喉の開き」に強く影響していますので、声量アップのためには欠かせないトレーニングとなってきます。
また、表情筋の動きで口の奥の空間の形を変えることによって、口・鼻・喉の共鳴(響き)を大きく変化させていくことができます。声量だけでなく、高音が出にくい・声がこもる・音程がフラットしてしまうなどの悩みを持っている方も、これからご紹介する3つのストレッチをぜひ試してみてくださいね。
びっくり顔ストレッチ
眉を上げ、目を見開いて、びっくりした時の顔を作ってみてください。イメージがしにくい場合は実際に「わっ!」と声を出してみましょう。
「い」と「う」のストレッチ
「い」の口は上下の歯を見せるように、唇を上下左右にしっかり広げます。「う」の口は上下の前歯を見せるように、唇を縦に細くして、前に突き出します。この「い」と「う」を4~5回ほど繰り返していきましょう。
首の前面を伸ばすストレッチ
下の歯を見せるように下顎を突き出し、緩めます。これを繰り返すことで首の前面や顎の下の筋肉を伸ばします。
以上の(1)〜(3)を1セットにして、2、3回繰り返してみてください。
無意識でも表情筋を持ち上げて歌えるように、このストレッチを定期的に行ってみてくださいね。
ボイストレーニングで声量はどのくらい上がる?
ボイストレーニングは声量アップに役立つトレーニング法ですが、その効果には個人差があり、一概に「このくらい声量が上がる」とは言い切れません。
早い人や熱心にトレーニングを続けた人は、2~3ヶ月程度で変化を感じることもありますが、声量はもともと一朝一夕で上がるものではありませんので、目立った変化が訪れるのは半年~1年程度と考えておいた方がよいでしょう。
変化が少ないとトレーニングのモチベーションも下がってしまいがちですが、声量が上がると音域が広がって歌える曲の幅が広がったり、抑揚のつけ方が上達して表現力がアップしたりします。
ボーカルにとっては良いことずくめですので、地道にボイストレーニングを続けて着実に声量を上げていきましょう。
声量を上げるためのボイストレーニングで注意したいポイント
正しい方法でトレーニングを行わないと、声量が思うように上がらないのはもちろん、場合によっては喉を痛めてしまう原因になりますので注意が必要です。
ここでは、声量アップのためのボイストレーニングを実践するにあたり、注意したいポイントを3つご紹介します。
1. 無理をしすぎない
短期間で声量を上げたい!と思うと、どうしてもオーバートレーニングになりがちです。しかし、ボイストレーニングで無理をし過ぎると、筋肉に大きな負担がかかってしまい、炎症を起こす原因となります。
場合によっては変なクセがついてしまったり、誤った発声方法が身についてしまったりすることもありますので、ボイストレーニングは適度な量・時間に抑えておきましょう。
特に初めのうちは筋肉が弱い状態なので、1日の練習量は20~30分以内に留めておくのがおすすめです。
ボイストレーニングは1度の練習量よりも、毎日定期的に続けることの方が大切ですので、無理なく継続できる範囲でトレーニングすることを心がけましょう。
2. 力を入れすぎない
発声には腹斜筋や口角挙筋など複数の筋肉を使いますが、それ以外の部分に余計な力が入っていると、伸びのある発声を行うことができません。必要な部分にはしっかり力を入れつつ、その他の部分はほどよくリラックスさせておくと、発声に必要な筋肉のみ効率よく鍛えることができます。
トレーニング中に「全身に力が入っているな」と感じたら、一度練習を中止し、深呼吸やストレッチなどで体をほぐしてからトレーニングを再開しましょう。
3. 自己流でトレーニングしない
ボイストレーニングは正しい方法で行ってこそ効果が出るものなので、誤った方法で練習していてもなかなか声量は上がりません。
特に自己流の方法でトレーニングをしていると、知らないうちに喉や声帯を痛めてしまうこともあります。
ボイストレーニングは自宅で行えるものも多いですが、「なかなか声量が上がらない」「喉に負担がかかっている気がする」と感じたら、プロのもとで正しいボイストレーニングを行った方がよいでしょう。
声量アップしたいのなら正しい方法でボイストレーニングを行おう
ボーカルがバンド演奏に負けないくらい大きな声量で歌うためには、基礎からしっかりボイストレーニングを行う必要があります。
具体的には、日常生活から腹式呼吸を意識しつつ、腹斜筋や肺活量、表情筋を鍛えるトレーニングを行うのが効果的です。
ただ、正しい方法でトレーニングを行わないと、かえって変なクセがついたり、喉を痛めたりする原因となります。いつまで経っても声量が上がらない…とお悩みの方は、プロのもとで正しいボイストレーニングを学ぶことからスタートしましょう。
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