声帯閉鎖のやり方とトレーニング方法をプロが解説!
ボイストレーニング
2021/02/14
「声帯閉鎖」という言葉を聞いたことはあるでしょうか?
「歌には声帯閉鎖が必要なのですか?」
「どうすれば声帯閉鎖をすることができますか?」
レッスンでもこのようなご質問をいただくことがあります。
結論から言いますと、声帯閉鎖は、力強い声で歌うためにとても有効な考え方です。
高い声を出したい、安定感のある声で歌いたいという方は、声帯閉鎖をマスターするのがおすすめです。
とはいえ、そもそも「声帯閉鎖って?」という方も多くいらっしゃることと思います。
ここでは、声帯閉鎖について詳しく解説し、習得するための練習方法などもご紹介します。
声帯閉鎖とは
声帯閉鎖とは、名前のとおり発声時に声帯が閉じることです。
「声」は、声帯の振動音が元となりますが、振動するだけでは音になりません。左右に分かれた声帯がぶつかり合うことで声の「原音」が作られます。
肺から排出される息(呼気)が声帯を通る際に声帯が振動するのですが、同時に、声帯が息を堰き止める力が原音の音量や質に影響します。息を堰き止めるには声帯をぶつけあう必要があり、この「声帯閉鎖」が重要となるのです。
逆にいうと、声帯が閉鎖する力(ぶつかり合う力)が小さいと、弱い声質になってしまうため、ある程度コントロールできるようになることが理想です。
声帯閉鎖の3つのやり方とトレーニング方法
声帯閉鎖の感覚を掴むのは簡単ではありませんが、コツを掴めばだんだんコントロールできるようになります。
ここでは、声帯閉鎖の練習方法を3つ紹介します。
1. エッジボイスの練習をする
声帯閉鎖を練習するなら、まずはエッジボイスという発声方法から始めてみてください。特に、普段から息が漏れる感覚のある方におすすめです。
エッジボイスとは、喉の奥から息を吐きつつ、軽く声を出そうとしたときに出るガラガラとした音のする発声です。軽くうがいをするように、喉の奥で声よりも「音を出すようなイメージ」を持つと出しやすいと思います。
その音が「揚げ物」を調理するときの音に似ているため、「ボーカルフライ」とも呼ばれます。映画「呪怨」のあの音、といえばわかる方も多いようです。
2. エッジボイスから徐々に声を出す
エッジボイスで軽く声帯が振動している感覚を保ちつつ、徐々に大きな声を混ぜていきます。息を増やしていくイメージでもよいのですが、息の量が多すぎて囁き声のようにならないよう注意が必要です。
音量を増やしながら、「あ」という音に濁点をつけた「あ”」のような音を出し続けることができたら、適度に声帯を閉鎖させられている証拠です。
3. 発声しながら息を短く止める
適度に声帯を閉鎖させながら発声できるようになれば、パワーアップを目指します。
声量を出してもパワーの衰えない、力強くソウルフルな歌い方ができるようになります。
「あっ・あっ・あっ・あっ・あっ」のように短く歯切れのよい「スタッカート」で硬い発声を繰り返すことで、声帯閉鎖のパワーが増します。
スタッカートでの発声で息が漏れてしまう場合に有効な発声練習があります。
英単語の「R」の発音をするように、舌を内側に丸め、喉の奥から咳払いのような声を短く出します。そうすることで、強制的に硬い声を出すことが可能となります。
ただし、やりすぎると声帯に負荷をかけすぎることにもなりますので注意が必要です。正しく発声ができているか心配な方は、ボイストレーナーなど専門家の指示のもとトライしてみてください。
声帯閉鎖のトレーニングをするメリット
声帯閉鎖をマスターすることで得られる効果はたくさんあります。
歌がうまくなりたい、きれいな声を出したい、高音を出せるようになりたいなど、歌の悩みを抱える方にぴったりの練習です。
ここでは、声帯閉鎖をマスターするメリットを紹介します。
1. しっかりした高音が出せるようになる
声帯閉鎖をマスターすると、高い声にハリが出ます。高音を歌うと声がか細くなってしまう、声が裏返ってしまうという悩みを解決できるでしょう。
声帯を閉じたり開いたりをスムーズに切り替えるコツを掴めば、無理に高音を出して音が不安定になってしまうこともありません。
喉に必要以上の負担がかからないため、高音の歌も余裕をもって歌えるようになるでしょう。
2. 音程が安定する
声帯を閉鎖する力が弱いと音程が不安定になることがあります。声帯閉鎖ができるようになれば、息の量やスピードに左右されない思い通りの音程で歌うことが叶います。
3. 響きのあるパワフルな声が出せるようになる
声帯閉鎖をマスターすると響きが明瞭で、パワフルな声が出せるようになります。。
意図せずかすれたような声しか出ないという場合は、息の漏れる量が多すぎるのかもしれません。
声帯閉鎖を練習すると不必要な息の漏れを防げ、響きのあるしっかりとした声が出せるようになります。
声帯閉鎖は、歌声に自信のない方にもおすすめです。早い方ではたった5分の練習でも声の変化を感じられるでしょう。
声帯閉鎖のトレーニングで注意したい3つのこと
声帯閉鎖のトレーニングをおこなう際は、いくつかの注意点があります。
比較的効果を感じやすいトレーニングではあるものの、無理をすると負荷のかかりやすいトレーニングとも言えます。
不安のある場合は、ボイストレーナーなど専門家の指示のもと練習しましょう。ここでは声帯閉鎖トレーニングで注意したい3つのポイントについて解説します。
1. 喉の奥で軽く、硬く短い声を出す
声帯閉鎖の練習では「あ”っ」と硬く歯切れのよい「スタッカート」での発声練習を多く用います。
このとき、息を吐きすぎたり、無理に声帯を閉鎖させすぎたりすると声が枯れてしまうことがあります。
まずは軽く、力を入れない意識を強く持ち、喉の奥のほうで硬く短い声を出せるようになるところから始めてください。
2. 喉を締めつけないで歌う
声帯閉鎖と聞くと声帯を締めつけるようなイメージもありますが、正しくできると、むしろ少ない力で硬い声が出せるようになるのが声帯閉鎖の特色です。
喉に不必要な力が入ると、声の響くスペース(共鳴腔)の体積が狭まり、キンキンとした声や、がなっているだけのような声となってしまいます。
練習している途中で喉に違和感を覚えるようなら、練習をいったん中断しましょう。何が間違っていたのか、どのような練習方法が正しいのか確認することをおすすめします。
3. 長時間練習しすぎない
実は、声帯自体は痛みや痒みを感じることができません。そのため負荷がかかっていないように感じても、声帯閉鎖のトレーニングを長時間おこなうことはあまりおすすめしません。
声帯閉鎖の練習は毎日5分ほどでも効果を感じられることが多いと思います。
長時間のトレーニングを時々やるのではなく、毎日少しの時間を継続しておこなうことで、早い段階でパワフルな声が出せるようになる実感を持っていただけるはずです。
声帯閉鎖に関するよくある質問
最後に声帯閉鎖に関するよくある質問についてお答えしていきます。
声帯閉鎖の感覚がよくわかりません。
「地声」と「ファルセット(裏声)」の違いを掴むとわかりやすいと思います。
地声は裏声に比べて、声帯を適度に閉鎖させながら発声するものです。喉の奥で息の抵抗を感じつつ、硬い声が出せている感覚です。
声帯閉鎖の感覚がよくわからないといった場合には、プロのボイストレーナーのもとでレッスンを受けるのも一つの方法です。
Beeボーカルスクールでは無料体験レッスンもおこなっておりますので、お気軽にご相談くださいね。
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声帯閉鎖を簡単に鍛える方法はありますか?
声帯を簡単に鍛える方法は以下のとおりです。
1. エッジボイスを練習する
2. エッジボイスの感覚のまま徐々に大きな声を混ぜていく 3. 2の声で硬く、短い声で発声練習していく |
以下のYouTubeで詳しく解説していますので、ぜひ参考にしてみてくださいね。声帯の閉鎖力を鍛えて強い声(息漏れを防いだ声)を目指せるエクササイズです!
声帯閉鎖をマスターして歌唱力をアップしよう!
声帯閉鎖について、メリットや練習方法を紹介しました。
高音をきれいに出したい、発声や音程を安定させたいという方には、声帯閉鎖の練習がおすすめです。声帯閉鎖をマスターすれば、歌唱力の向上につながります。
今よりも上手く歌えるようになりたい、歌っていると喉が痛くなるのを改善したいという方は、歌の練習に声帯閉鎖のトレーニングを取り入れて、声帯のコントロールを目指してください。
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