路上ライブの許可の取り方をイチから分かりやすく解説
上達への近道
2021/06/21
駅周辺では、ギター片手に路上ライブをやっている人が多数見受けられます。
ライブハウスを借りる手間とお金を省けるので、「自分も路上ライブをやってみたい」と思っている方も多いと思いますが、実は路上ライブを行うには事前に許可を取る必要があります。
無許可で路上ライブを実施した場合、罰則の対象となることもありますので、路上ライブにチャレンジしたい方は、あらかじめ許可の取り方を学んでおきましょう。
今回は、路上ライブの許可の取り方や、許可を取りやすい場所、おすすめの時間帯についてまとめました。
路上ライブの許可の取り方
路上ライブを実施するには、警察に出向いて「道路使用許可申請」の手続きを行い、路上ライブを実施する場所を管轄する警察署長の許可を得る必要があります。
手続きそのものは路上ライブを行う場所を管轄している警察署にて、いつでも行うことが可能ですが、道路はあくまで交通用の道ですので、もし申請の内容が交通妨害になる可能性があると判断された場合、却下されるおそれがあります。
路上ライブを決行する日のギリギリに申請しても、許可が取得できない可能性がありますので、警察でも十分な時間的余裕を持って、事前相談することを推奨しています。[注1]
申請期日は各自治体によって異なりますが、最低でも1週間前くらいまでには道路使用許可申請の手続きを行うようにしましょう。
路上ライブの許可申請に必要なもの
路上ライブのために道路使用許可申請を行う際は、前もっていくつかの書類を準備する必要があります。
まずは、道路使用許可申請書です。これは警察署の窓口で交付しているほか、警察庁のホームページからダウンロードし、プリントアウトして使うこともできます。
道路使用許可申請書に記載する項目
道路使用許可申請書には、以下の必要項目を記載します。
- 申請年月日
- 申請書の提出先
- 申請者
- 道路使用の目的
- 場所又は区間
- 期間
- 方法又は形態
- 添付書類
- 現場責任者(住所・氏名・電話番号)
「期間」については西暦や年月日だけでなく、何時から何時まで利用するのか、細かい時間も記載します。
「方法又は形態」は、どのように道路を利用するのか、その方法を記載します。たとえばギターで弾き語りする場合は、「路上に椅子を設置し、座りながら演奏」などと記載します。
「添付書類」は、以下2通を準備します。
- 道路使用の場所又は区間の付近の見取図
- 道路使用の方法又は形態等を補足するために公安委員会が必要と認めて定めた書類
「現場責任者(住所・氏名・電話番号)」については、一人で路上ライブをやるなら本人の情報、バンドでやるなら代表者の情報を記載します。
なお、道路使用許可申請書は、警察署が保管する分と、許可証として使用する分で、合計2通必要になります。(添付書類は1通分でOKです)
道路使用許可申請書の提出時に手数料も必要
警察署では、これらの書類を提出すると同時に、手数料を納付します。手数料に関しては自治体ごとに異なるほか、使用目的に応じて区分されている場合もあります。
たとえば東京都の場合、路上ライブは「工事・作業以外に関する申請」にあたりますので、手数料は2,100円となります。
一般的には現金ではなく、収入証紙で納めることになりますので、警察署内の窓口等で購入しましょう。
路上ライブの許可が取りやすい場所
道路使用許可の基準については、道路交通法第77条第2項の規定により、以下3つのいずれかに該当する場合は許可をしなければならないと定められています。
- 現に交通の妨害となるおそれがないと認められるとき
- 許可に付された条件に従って行われることにより交通の妨害となるおそれがなくなると認められるとき
- 現に交通の妨害となるおそれはあるが公益上又は社会の慣習上やむを得ないものであると認められるとき
ただ、路上ライブがこれら3つの規定に該当するかどうかは警察が判断するため、書類一式を不備なく提出したとしても、許可がおりないこともあります。
書類を用意する手間と時間が無駄になるのはもちろん、納めた手数料も返ってこないのは痛いところです。
そのため、路上ライブをやりたくてもできないと嘆いている方も多いのですが、地域によっては路上ライブやストリートライブを希望するミュージシャンのために、演奏の場を提供する試みが行われています。
ここでは、路上ライブの許可を取りやすいおすすめスポットを3つご紹介します。
1. 柏駅東口駅前ダブルデッキ
千葉県柏市では「ストリートミュージシャン登録制度」を導入しており、同制度に登録したミュージシャンは、柏駅東口駅前ダブルデッキで路上ライブを行う許可を得ることができます。[注2]
「発電機、アンプ、ドラムを使用しない」「演奏時間は御膳11時~午後10時30分」「販売行為はしない」などのルールはありますが、アコギの弾き語り程度なら問題なく路上ライブを行えます。
また、年に複数回にわたって行われる「柏まちかどライブDAY」では、普段は禁止されているアンプも利用可能です。出演はオファー制ですが、ストリートミュージシャン登録制度に登録しているミュージシャンであれば応募できますので、「エレキギターで路上ライブしたい」という方にもおすすめのスポットです。
なお、ストリートミュージシャンの登録は「柏ストリートミュージシャン」のホームページ上で行うことができます。登録料は1組につき1,100円です。
2. 井の頭恩賜公園
東京都武蔵野市と三鷹市にまたがる都立公園「井の頭恩賜公園」では、手作りアート作品と大道芸の出典を年間登録制で認める「井の頭公園アートマーケッツ」という制度を導入しています。[注3]
毎年12月中旬~1月下旬にかけて、登録者(アートキャスト)の募集が行われ、無事に登録が完了すると、その年に開催されるアートマーケッツで路上ライブを行うことができます。
ただ、登録数には上限があるため、年によっては募集されないこともあります。登録料は年間12,000円です。
3.東京都墨田区
東京都墨田区では、地域活性化を目的として、「すみだライブストリート」と呼ばれる事業を行っています。[注4]
アーティスト登録を行うと、東京都墨田区内の路上でライブを行う許可を得ることができます。
使える楽器には一定の制限がありますが、ギターやベース、キーボードなど一般的な楽器であれば登録可能です。
なお、登録には事前審査が行われるほか、1月あたり216円のシステム手数料が必要になります(12ヶ月分を一括払い)。
路上ライブのおすすめの時間帯
より多くの人に自分の音楽を聴いてもらいたい!という場合は、夕方~夜間の時間帯に路上ライブを行うのがおすすめです。
通勤や通学、仕事などで忙しい朝~昼に路上ライブをやっても、立ち止まって聴いてくれる人は少なく、スルーされてしまう可能性が高いためです。
帰宅時間にあたる夕方~夜間なら、さほど時間に追われていないので、立ち止まって音楽に耳をかたむけてくれる人も増えるでしょう。
ただし、夜更けに路上ライブを行うと迷惑になる可能性がありますので、ライブを行う場所に合わせて時間を調節することが大切です。
路上ライブを行うときは必ず事前に許可を取ろう
路上ライブを行うためには、事前に警察署で「道路使用許可申請」の手続きを行い、許可を取得する必要があります。
申請手続きには所定の書類が必要になりますので、一式を準備して警察署に出向きましょう。
ただ、申請しても必ず許可が取れるとは限りません。
地域によっては、登録制で路上ライブを許可しているところもありますので、お住まいのエリアで路上ライブを許可する制度があるかどうか、一度確かめてみることをおすすめします。
[注1]警察庁:道路使用許可の概要、申請手続等
[注2]柏ストリートミュージシャン:柏ストリートミュージシャン登録制度
[注3]井の頭公園アートマーケッツ
[注4]東京2020応援プログラム認証事業:すみだライブストリート