声質を改善するための4つのトレーニング方法
声
2021/06/29
声は持って生まれた個性です。完全に変えることはできませんが、呼吸や喉の使い方次第で声質を改善できます。
声質改善に効果的なトレーニング方法としては、喉声を改善できる喉を開く訓練ほか、正しい腹式呼吸、息漏れ解消に効果的な声帯閉鎖、声に響きを与える鼻腔共鳴などがあります。
喉を鍛える訓練としては、喉仏の上下運棟や、裏声でのフクロウの鳴き真似などが効果的です。
今回は、声質改善のための4つのトレーニング方法について、それぞれ詳しく解説します。
声質を改善するためのトレーニング
声が通らない、こもる、芯がなくか細いなど、自分の声質に悩みがある場合は、次の4つのトレーニングを試してみましょう。
1. 喉を開くトレーニングで「喉声」を卒業
喉声とは、喉に不要な力が入り、締め付けた状態で発する声を指します。
歌声が固い、高い声が出ない、喉を締められているような苦しそうな声が出てしまう、という人は、喉声で喋っている可能性が高いです。
まずは口を開けて発声し、口蓋垂が上がって喉の奥が見えているかどうかを確認しましょう。
喉の奥が見えない場合は、口蓋垂が下がったままだったり、舌根(舌の付け根)が上がってしまっていて、音を響かせる空間が狭くなっている状態にあります。
喉を開くトレーニングのコツは、正しい姿勢を保つことです。首や肩に無駄な力が入ると喉が締まりやすくなるため、まずはストレッチで筋肉をほぐしましょう。
正しい姿勢をキープしながら、リラックスすることが大切です。
また、歌うときは声を前に押し出すのではなく、頭の真上や後ろに意識を置きましょう。前に声を出そうとすると、無意識のうちに顔や首が前にせり出してしまう可能性があります。
リラックスし首をまっすぐに伸ばすことで、息の流れを止めずに発声することができます。
笑っているときは喉が締まりにくいため、最初のうちは笑った状態からトレーニングするとよいでしょう。
2. 正しい腹式呼吸で聞き取りやすい声に
歌声の声量が安定しない、聞き取りにくい場合は、腹式呼吸が出来ていない可能性があります。腹式呼吸は横隔膜を上下させて行う呼吸法です。
日常生活で用いる胸式呼吸よりも吸い込む息の量が多く、吐くときの息の量を調整できるため、歌声の強弱がつけやすく、ロングトーンも安定しやすいというメリットがあります。
正しい腹式呼吸の方法は次のとおりです。
- 座る、寝る(仰向け)、立った状態、自分がリラックスできる体勢で、胸とお腹(おへその辺り)に手を置きます。
- お腹をへこませながら、口を大きく開けて「ハーッ」と、続いて口をすぼめて「フッフッフッ」と、最期に「フーッ」と息を吐きます。
- 鼻からゆっくりと、お腹を膨らませながら息を吸います。お腹が膨らむをを手のひらでしっかり確認しましょう。胸に置いた手が動いていたら、胸式呼吸なっている証拠です。
これを毎日、5〜6分トレーニングしましょう。自然と腹式呼吸が身についてくるはずです。
3. 声帯閉鎖を鍛えて息漏れを解消
発声したときにため息のような息漏れが多い場合は、声帯を閉じる力が弱い証拠です。このような場合は、声帯閉鎖のトレーニングがおすすめです。
声は喉の奥にある2枚のひだのことです。声は、その声帯が振動することで出ます。声帯が完全に閉じている、または開いている状態だと声は出ません。
また、声帯が開き気味の状態だと、ため息まじりの声が出てしまいます。
聞き取りやすい通る発声にするには、声帯が適度に閉じている状態で声を出す必要があります。声帯閉鎖を鍛えるには、次の2つのトレーニング方法が効果的です。
- 「エッジボイス」の訓練
- スケール(音階)練習
エッジボイスとは、音に濁音をつけたような声を出す発声方法です。エッジボイスは声帯が適度に閉じていないと出ない声なので、声帯閉鎖を鍛えるのに最適なトレーニングです。
まずはリラックスして、無理のない高さの声で「アー」と発声しましょう。続いて、自分が出せる最も低い声まで音程を下げていきます。
限界まで音程を下げたら、さらに低い声を出すようにしましょう。「あ゛あ゛あ゛あ゛」という濁点をつけたような声が出れば、それがエッジボイスです。
ポイントは、喉の力を抜いて、リラックスした状態で行うことです。
スケール練習とは、「ド・レ・ミ・ファ・ソ・ファ・ミ・レ・ド」と、音階に沿った発声練習です。胸に手を当てて、音階の徐々に高く、または低くしての練習を繰り返します。
胸の振動を感じるようになれば、喉がリラックスした状態で地声の発声が出来ている証拠です。
音階が高くなると喉に余計な力が入ってしまうことが多く、喉に負担がかかります。喉が良い感じに脱力した状態をキープできるよう心がけましょう。
4. 舌の緊張状態を取り除いて「こもらない声」に
声がこもって通りにくい原因の1つとして、「舌の根元に力が入っている」ことが挙げられます。
舌の根元が縮まってしまうと、その真下にある咽頭(声帯がある器官)の動きも悪くなります。
舌の動きは舌骨などを通して声帯に直接影響を与えてしまうため、舌をいかにリラックスさせるかがかなり重要になってきます。
声帯を動きやすくするためにも、発声練習や歌唱の前に4つの舌のストレッチを行いましょう。
● ストレッチ1
- 口を開けて前に大きく舌を出す。この時、舌をしっかりと横に広げる。
- 舌を出したまま、顎を突き出して口を閉じる。
- 舌根の広がりを感じながら、1〜2を5回ほど繰り返す。
● ストレッチ2
- 舌先を下の歯の裏側に付ける。この時、舌をしっかりと横に広げる。
- 舌先を上の歯の裏側に付け、舌を横に広げる。
- 舌根の広がりを感じながら、1〜2を5回ほど繰り返す。
● ストレッチ3
- 左の舌の付け根を伸ばすように、できる限り舌を右側に出す。
- 右の舌の付け根を伸ばすように、できる限り舌を左側に出す。
- 舌根の伸びを感じながら、1〜2を5回ほど繰り返す。
● ストレッチ4
- 舌全体を上の歯の裏につけ、舌を横に広げる。
- 舌先を上の歯に付けたまま、上顎を開いて舌の裏側を伸ばす。
- 1〜2を5回ほど繰り返す。
以上が4つの舌のストレッチになります。
注意点としては、どのストレッチも息を止めないようにすることです。
ストレッチ中は呼吸を忘れずに、リラックスした状態を意識しながら行ってみてください。
また、鏡を使用したり、動画を撮って視覚的にチェックすることも効果的です。舌を自由に動かせるようにストレッチを続けてみてくださいね。
声質改善に欠かせない喉の鍛え方
声質改善には、声帯を間接的に動かす筋肉の1つ、「輪状甲状筋」を鍛えることも大切です。
輪状甲状筋は声帯を引き伸ばすために必要な筋肉なので、毎日の発声トレーニングに加えましょう。
輪状咽頭筋のトレーニングにはファルセットが効果的です。
ファルセットを練習するにあたってのポイントをまとめてみましたので、ぜひ参考にしてみてください。
- 舌と喉の力を抜いて発声しましょう。
「声にならないのではないか」と思うほど、舌と喉の力を抜いてみてください。 - 息を逃すように発声しましょう。
ファルセットは優しく、細く声を出します。 - 上顎から頭にかけての響きを感じてみてください。
ファルセットは高い音域が出やすいため、共鳴も上顎から頭に響きやすくなります。呼気が口蓋垂の後ろから鼻に抜けることをイメージするのも効果的です。
声質改善で自分の声を見つけましょう
声が通らない、こもる、細いといった悩みがある場合は、喉を開くとトレーニングほか、腹式呼吸、声帯閉鎖、舌のストレッチで大幅に改善することが可能です。
声質を改善して、自分の理想の声を見つけましょう。
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