エッジボイスが歌唱に与える効果を分かりやすく解説

ボイストレーニング

2021/06/22

投稿者: 西 貴正

エッジボイスが歌唱に与える効果を分かりやすく解説

歌の歌い方はさまざまなものがありますが、そのひとつが「エッジボイス」です。エッジボイスは歌唱にどのような効果を与えるのでしょうか。

今回は、エッジボイスが歌唱に与える効果や効果を活かす方法、エッジボイスの効果をより引き出すための方法などを解説します。

エッジボイスが歌唱に与える効果

歌う女性

「あ」に濁点をつけたようなホラー感のある音が出せるのが、エッジボイスです。

ここでは、エッジボイスが歌唱に与える効果を7つ紹介します。

1. 声帯をリラックスさせる

エッジボイスは声帯がリラックスした状態でなければ出すことができない声です。声帯に無駄な力を入れないという感覚が掴めない人は、ホラー映画をイメージしてエッジボイスを出してみましょう。

リラックスさせた後は声に張りが出やすいので、これから声を出さなければいけない場面では、エッジボイスの練習自体がウォーミングアップにもなります。

なお、エッジボイスを出していると喉が痛くなる場合は、力を入れすぎている証拠です。息をしっかり吐いて全身を脱力させましょう。

2. 息漏れを改善に導く

エッジボイスは声帯が閉じた状態で出る声です。そのため息漏れがなかなか改善できない人でも、声帯を閉じるという感覚が掴みやすくなります。

息漏れして声がかすれてしまうのは、声帯がしっかり閉じていないからです。息漏れを防げばクリアボイスが綺麗に出せるようになるため、悩んでいる人はエッジボイスを出してみましょう。

3. 声帯の閉じすぎを改善できる

エッジボイスには声帯を閉じる効果があるとお話ししましたが、実は喉締め声のような苦しさを感じさせる声を改善させることができます。

喉締め声が出てしまうのは、声帯を必要以上に閉じすぎているからです。閉じすぎ声帯は振動しづらくなるため、その結果声が出づらくなってしまいます。

エッジボイスは声帯を閉じることで出せる声ですが、適度な締め具合の感覚を掴めるので、喉締め声が直らない方にもおすすめです。

4. チェストボイスで歌えるようになる

チェストボイスは地声のような声で胸と鼻腔に声を響かせて出します。男性は比較的出しやすい声なのですが、チェストボイスを苦手とする女性は多いです。

チェストボイスがうまくできない人は、声帯の閉じ具合が甘い可能性があります。エッジボイスができると、声帯をうまく閉じることができるようになります。綺麗なチェストボイスを出すコツが掴みやすくなるでしょう。

5. 高音が出しやすくなる

エッジボイスはリラックスした状態で出る声ですが、出している間は声帯を閉じるための筋肉である閉鎖筋という筋肉を使っています。閉鎖筋を鍛えると高音を出しても雑音が混ざらなくなるので、綺麗な高音を出すことができるようになるのです。

また、閉鎖筋を鍛えることで、高音を出すときでも無駄な力を入れずに済みます。高音を出すときに力を入れると高音が出づらくなったり、喉に負担がかかりすぎたりしてしまいます。綺麗で伸びのある高音を出したい場合は、エッジボイスがおすすめです。

6. ミックスボイスの練習になる

地声と裏声の中間の声であるミックスボイスを使いこなすことで、声の裏返りが防げます。また、換声点がなくなるので低音も高音も綺麗に力強く歌うことができるようになります。

しかし、ミックスボイスに苦戦し、途中で諦めてしまう人も少なくありません。

エッジボイスを出して声帯を閉じる感覚を掴むと、地声と裏声の換声点での整体の使い方がコントロールできるようになります。なかなかミックスボイスのコツを掴めなかった人でもエッジボイスを使うことによってコツを掴むきっかけを得ることができるのです。

「ミックスボイスがなかなかできない」という方は、ぜひエッジボイスを使った練習をしてみてください。

7. 表現力の幅が広がる

ホラー感のあるエッジボイスですが、実は有名なアーティストも歌唱の合間にエッジボイスを効果的に使っています。エッジボイスを強調した歌い方ではなく、歌い始めの一音目にエッジボイスを微妙に絡めることによって、声がセクシーに聞こえるのです。

歌を上手に歌うためには、さまざまなテクニックを組み合わせることが必要です。エッジボイスをマスターして、歌の表現力をアップさせましょう。

エッジボイスの効果を活かすには?

エッジボイスの効果を活かすためには、まずエッジボイスをうまく出せるようにならなければいけません。

エッジボイスをうまく出せない人は、「あ」に濁点をつけたような声を意識してみてください。ホラー映画に登場する怨霊やゾンビの唸り声をイメージすると分かりやすいかもしれません。

また、うがいをするイメージをした練習もおすすめです。実際にうがいをしても構いません。

なお、力が入っている状態だと、なかなかエッジボイスを出すことができないでしょう。全身をストレッチして身体をほぐし、リラックスすることもとても重要です。ストレッチした後にしっかり深呼吸をして、体の力を抜いてから、エッジボイスの練習を始めてください。

エッジボイスの効果を引き出す方法

マイクを持って歌う男性

エッジボイスを強調した声で歌う機会は、あまりないかもしれません。しかし、エッジボイスを具体的な練習に取り入れることで、その効果をより引き出すことができます。

ここでは、エッジボイスの効果を引き出す方法を2つ紹介します。

1. エッジボイスから少しずつ地声を出す

息漏れしてしまう人や喉締め声が出る人、チェストボイスが出せない人におすすめの練習方法が、エッジボイスを出した状態から少しずつ地声を出す方法です。

まず、エッジボイスを出して、声帯を閉じている力を少し強めます。その後音を持ち上げ、地声を少しずつ出していきましょう。地声にするときに声帯を閉じる力を緩めると息漏れしてしまうので、声帯をしっかり意識してください。うまくできれば張りのある声が出せます。

2. ミックスボイスへのきっかけを作る

効果の解説でもエッジボイスがミックスボイスのコツを掴むのに最適だとお話ししましたが、具体的な方法を紹介します。

まずはエッジボイスを出し、声帯を閉じる感覚を掴みましょう。声帯を閉じる感覚が掴めたら、エッジボイスから地声、地声から裏声、裏声から地声、地声からエッジボイスという風に変化させていきます。

このとき、できるだけ滑らかに変化させるのがポイントです。エッジボイスから地声を出す練習を繰り返すことで、スムーズに切り替えられるようになります。

また、最初は大きな声ではなく、小さな声で練習した方がやりやすいです。徐々に大きくて力強さのある声が出せるようにしていきましょう。

エッジボイスは歌唱力アップにつながる発声法

エッジボイスを単体で使うような歌はあまりありません。しかし、エッジボイスには歌唱力アップにつながる素晴らしい効果がたくさんあります。

とくに、多くの人がつまずいてしまう「声帯を閉じる感覚」を養うためには、エッジボイスがうってつけです。

声帯を閉じる感覚が身についたら、ミックスボイスはもちろん、息漏れ防止や喉締め声の改善にも効果があります。また、綺麗な高音も出せるようになるでしょう。

エッジボイスは、喉のウォーミングアップにもおすすめな発声法です。

確実な歌唱力アップを目指すなら、歌の練習にエッジボイスを取り入れてみましょう!

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