ピアノの音階について今さら聞けない基礎知識
ピアノ各部名称と基本用語
2021/06/08
ピアノをはじめ、楽器を演奏する技術を習得するためには、まず知識を身につけることが大切です。
こちらの記事では、音階について基礎知識から解説いたします。
音楽において基本となる音階を押さえておくことで、楽譜の読み方がスムーズになり、そのあとのステップアップにも確実に役立つでしょう。
ピアノの音階の基礎知識
音楽における音階とは、英語でスケールとも呼ばれます。
音階は、その名の通り音の階段です。
音を低いところから高いところまで順番に並べたものを指しています。
音楽は文化の数だけ種類があります。
そのため、文化によって用いられる音階も異なるのです。
そのなかでも、代表的なものが以下の5種類です。
長音階
短音階
自然短音階
和声短音階
旋律(単)短音階
音階について確認するうえで大切な基礎知識が、全音と半音についてです。
全音や半音とは、音同士の距離を表す言葉です。
ピアノの鍵盤を見ると、オクターブのなかに白鍵盤と黒鍵盤が法則的に並んでいます。
白と黒を含め、1つ鍵盤が隣になることで半音上がっていきます。
ドとレの場合、間に黒鍵盤があります。
そのため、ドとレには全音の距離があるということです。
一方でミとファには間に黒鍵盤がなく、直接隣同士で接しています。
ミとファは半音離れているということになります。
1.長音階
長音階とは、メジャースケールとも呼ばれます。
明るい印象を与える音で構成されており、非常に広く使用されている音階です。
ポジティブな気分になれる明るい曲でよく使われています。
長音階は、ピアノの鍵盤を見るとわかりやすいです。
ピアノの鍵盤のうち、白鍵盤だけを順番に弾いていくと、ドを主軸にしたCメジャースケールが出来上がります。
先述の全音と半音でいうと、全音・全音・半音・全音・全音・全音・半音という法則になっています。
2.短音階
短音階は、マイナースケールとも呼ばれます。
長音階とは反対に暗い印象を与える音で構成されています。
ですが、短音階を用いることで音楽に深みが生まれて複雑な表現ができるようになります。
短音階は、3種類にさらに分類できます。
3.自然短音階
自然短音階は、ナチュラルマイナースケールとも呼ばれます。
メジャースケールのうち、6つ目の音から始めた音階がナチュラルマイナースケールです。
前述のCメジャースケールだと、6つ目の音はラ、すなわちAです。
全音と半音に当てはめると、全音・半音・全音・全音・半音・全音・全音といった法則で構成されています。
続けて聴いてみると、あまり釈然としない曖昧な印象を受けるかもしれません。
音階を構成している音の都合上、主音が曖昧に聞こえてしまうためです。
4.和声短音階
和声短音階は、ハーモニックマイナースケールとも呼ばれます。
自然短音階を改良して欠点を克服した音階です。
全音と半音に当てはめると、全音・半音・全音・全音・半音・増2度・半音となります。増2度とは、半音3つ分です。
自然短音階との違いは、7つ目の音です。
自然短音階ではソ、すなわち全音のGであったところが半音あげてG♯となっています。
7つ目の音が半音になったことで、6つ目の音が増2度となりました。
増2度になったことで、音階として一連の流れで聞くと美しく聞こえますが、メロディーとして見てみると距離がありすぎて違和感を感じてしまいます。
5.旋律短音階
旋律短音階は、メロディックマイナースケールとも呼ばれます。
これまでの短音階における問題点を克服し、メロディーとしての美しさを追求した音階です。
全音と半音で当てはめると、全音・半音・全音・全音・全音・全音・半音となっています。
和声短音階の欠点を克服するために、これまでと同様で部分的に音程が変更されています。
和声短音階と比較すると、6つ目の音であるファ、すなわちFが半音あがってF♯となっています。
増2度の距離がなくなったことで、メロディーで聴いた際に大きな違和感を抱かなくなりました。
一方で、長音階と似ているのが問題点です。
ほとんどの構成が長音階と同じになってしまっています。
それぞれ、短音階には利点と欠点があります。
一般的には、メロディーに合わせて最適な音階が使われており、法則をマスターすれば応用もしていけます。
ピアノの音階の覚え方
音階は、知識として覚えるよりも、実際に手を動かすことで実感を持って効率よく習得できます。
ト音記号とヘ音記号の楽譜をスムーズに読めるようになるために、基本中の基本となるメジャースケールを、ピアノを用いて確認しましょう。
ピアノの鍵盤には、白と黒が用いられています。
ピアノの鍵盤は、白・黒・白・黒・白・白・黒・白・黒・白・黒・白、この1連の流れが繰り返されていきます。
前述のとおり、となり合わせになっている鍵盤同士は、半音ずつ音が離れています。
ピアノには、全部で88つの鍵盤があり、この鍵盤のなかに、ドの音は8つ存在します。
先ほどの白と黒の流れでいうと、以下のとおりになります。
ド・ド♯・レ・レ♯・ミ・ファ・ファ♯・ソ・ソ♯・ラ・ラ♯・シ
左側から順番に数えて4つ目のドが、すべての基本となるドです。
このドを基準にして、白い鍵盤を順番に7つ弾いてみましょう。
これが長音階です。
短音階を覚える際も、同じく鍵盤を確認しましょう。
自然短音階の場合、長音階の6つ目から始まる音階となります。
そこから順番に白い鍵盤を弾いてみましょう。
ラ・シ・ド・レ・ミ・ファ・ソ
和声短音階は、自然短音階の7つ目の音を半音上げます。
ラ・シ・ド・レ・ミ・ファ・ソ♯
旋律短音階は、和声短音階からさらに6つ目の音を半音上げます。
ラ・シ・ド・レ・ミ・ファ♯・ソ♯
3種類の短音階の違いは部分的ですので、長音階と合わせて鍵盤を見て覚えましょう。
日本の音楽で多く用いられる音階について
文化に合わせてさまざまな音階が存在します。
日本では、5つの音で構成された音階を伝統として用いられてきました。
これを五音階、またはペンタトニック・スケールといいます。
五音階は非常にシンプルで、長音階から特定の2つの音を除外するだけです。
どの音を除外するかによって、音階のイメージは大きく変化します。
日本では、ヨナ抜き音階とニロ抜き音階の2種類が多く用いられてきました。
ヨナ抜き音階とは、長音階から4つ目と7つ目の音を除外した音階です。
すなわち、ファとシが除外されます。
ヨナ抜き音階を順番に弾いてみると、どこか馴染み深いメロディーに感じられるかもしれません。
ヨナ抜き音階が使用されている代表的な曲として、君が代が挙げられるためです。
ニロ抜き音階では、長音階から2つ目と6つ目を除外します。
レとラが抜かれます。
ニロ抜き音階は比較的珍しい音階です。
日本では、沖縄の琉球音階として用いられており、BEGINの島人ぬ宝などが代表的です。
基本となる音階を確認しておくことは極めて重要
音階は、音楽を勉強していくなかで基本中の基本となります。
しっかりと最初に基本を押さえておかなければ、次のステップアップに進むことが難しくなってしまう可能性があります。
また、音階を本などの教材で学ぶ方法もありますが、実際に楽器を触りながら体で覚えていくことも大切です。
基本からしっかりと勉強していきたい方は、ぜひピアノ教室やミュージックスクールなどに通うことも検討してみてください。
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