アコギやエレキギターの弦の種類や選び方のポイントを解説
ギターのメンテナンス方法
2021/06/08
アコギやエレキに使われているギターの弦は一見同じように見えますが、実はいろいろな種類があり、それぞれ特徴が異なります。弦の選び方によって音質やピッキングの感覚などに違いが出ますので、アコギとエレキそれぞれの弦の種類の特徴を覚えておきましょう。
今回は、アコギ・エレキに使われる弦の種類や選び方のポイントを解説します。
アコギの弦の主な種類
アコギに使われる弦は、材質と太さによって複数の種類に分かれます。
まずは、アコギに使われる主な材質の種類とその特徴をご紹介します。
1. ブロンズ弦
巻き線にブロンズ(銅)が使われている弦です。
実際には銅とスズの合金で、一般的には8:2の割合ですが、スズの割合が多いほどきらびやかな音色になります。
2. フォスファーブロンズ弦
ブロンズ弦にリンを含ませた弦のことです。
ブロンズ弦より音が大きいところと、錆びにくいところが特徴です。
3. コンパウンド弦
シルクを使った弦のことです。
ブロンズ弦に比べると音は小さめですが、非常に柔らかいので楽に弦を押さえられます。
4. コーティング弦
表面に特殊なコーティングが施されている弦です。
錆びや汚れへの耐性が高く、一般的な弦の4倍長持ちするといわれています。
また、左手を移動させる際に生じるフィンガーノイズが起こりにくいのもコーティング弦の特徴です。
5. コンパウンド弦
弦の芯線にシルクを使った弦のことで、別名「シルク&スチール」とも呼ばれています。柔らかいシルクを使っているぶん、弦を楽に押さえられるため、力のない女性やシニア世代に多用されています。
アコギの弦の太さ
ギターの弦の太さはミリやセンチではなく、インチで表されるのが一般的です。1インチは約2.54cmなので、「.010」と表記されている弦は0.01インチ=0.254mmとなります。
アコギの弦の太さは、細い順から「スーパーライトゲージ」「ライトゲージ」「ミディアムゲージ」「ヘビーゲージ」の4パターンありますが、同じ区分でも1弦~6弦でそれぞれ太さが異なります。
1弦 | 2弦 | 3弦 | 4弦 | 5弦 | 6弦 | |
---|---|---|---|---|---|---|
スーパーライト | .010 | .014 | .023 | .030 | .039 | 0.047 |
ライト | .012 | .016 | .025 | .032 | .042 | 0.054 |
ミディアム | .013 | .017 | .026 | .035 | .045 | 0.056 |
ヘビー | .014 | .018 | .028 | .038 | 0.048 | 0.058 |
エレキの弦の種類
エレキもアコギ同様、弦の材質と太さによって複数の種類に分類されます。
まずはエレキに使われる弦の主な材質を3つご紹介します。
1. ニッケル弦
錆びにくく、加工しやすいニッケルを使用した弦です。
古来から現代に至るまで、最もメジャーなエレキの弦として知られています。
2. ステンレス弦
鉄にクロームと呼ばれる金属を加えた合金の弦です。
ニッケル弦より硬くて錆びにくく、かつ高音がきらびやかになるところが特徴です。
3. コーティング弦
ニッケル弦にごく薄い皮膜を施した弦です。
アコギのコーティング弦同様、耐久性が飛躍的に向上するため、長時間のライブでも劣化しにくいところが特徴です。
かつてはコーティングにより、一般的な弦の弾き心地が損なわれるといわれていましたが、最近は品質改良により、一般的な弦の弾き心地に近い状態まで改善されています。
エレキの弦の太さ
エレキの弦の太さもアコギと同じく、インチで表記されます。
アコギではスーパーライト、ライト、ミディアム、ヘビーの4つに区分されますが、エレキはさらに「エクストラライト」を加えて5つに区分されます。
1弦 | 2弦 | 3弦 | 4弦 | 5弦 | 6弦 | |
---|---|---|---|---|---|---|
エクストラライト | .008 | .010 | .014 | .023 | .029 | .037 |
スーパーライト | .009 | .011 | .016 | .026 | .032 | .042 |
ライト | .010 | .013 | .017 | .027 | .036 | .046 |
ミディアム | .011 | .014 | .018 | .028 | .038 | .049 |
ヘビー | .0142 | .016 | .020 | .032 | 0.042 | 0.054 |
アコギやエレキの弦の選び方
アコギやエレキで使う弦を選ぶ際のポイントを2つご紹介します。
1. 初心者は細い弦を選ぶ
ギターの弦は、太いほど音量が大きく、迫力のあるサウンドを奏でることができますが、そのぶん弦の張力も強くなるため、弦を押さえるのに力が必要になります。
初心者のうちは太い弦をしっかり押さえるのは難しいので、まずは細い弦を使って練習し、慣れてきたら好みに合わせて太さを調整しましょう。
具体的にはアコギ・エレキ共にスーパーライトゲージかライトゲージを選ぶのがおすすめですが、力の弱い女性がエレキを弾く場合は、さらに細いエクストラライトゲージを選んだ方が弦を押さえやすくなります。
2. 材質は最もスタンダードなものを選ぶ
ギター初心者の方は、自分がどんな音質を好むか、どんなスタイルでプレイするのか、まだはっきりしない状態ですので、まずは標準的な材質の弦を使用するのがおすすめです。
アコギならブロンズ弦、エレキならニッケル弦を使用し、ある程度練習を重ねて「もっと派手な音を出したい」「指に優しい弦が欲しい」といったニーズが出てきた段階で、他の材質の弦を検討するとよいでしょう。
アコギやエレキの弦のメンテナンス方法
ギターの弦は消耗品ですので、長く使用していると経年劣化が目立ってきます。
ただ、弦を適切な方法でメンテナンスしていれば、通常よりも寿命を伸ばすことが可能です。弦は決して安い買い物ではありませんので、定期的にメンテナンスを行い、少しでも長持ちさせましょう。
弦をお手入れするときは、ボディやフレット、指板などのメンテナンスにも使用する専用のクリーニングクロスを使用します。
さらに、弦の汚れを落とすためのストリングクリーナーと呼ばれる専用オイルを用意します。
クロスにストリングクリーナーを少量含ませたら、1本1本の弦を端から端までスライドさせるように磨いていきます。
このとき注意したいのは、弦の表部分だけでなく、裏側もしっかり磨くことです。表側だけきれいにしても、裏側に汗や皮脂などが残っていると、錆びが発生する原因となります。
錆びた弦がフレットに触れると、表面が削れたり、錆びが浸食したりして、フレット自体も劣化しやすくなってしまいます。弦をお手入れするときは、クロスで弦を包み込むようにして、表と裏の両方を磨くよう心がけましょう。
仕上げとして、フィンガーイーズ(指板潤滑剤)を少量含ませたクロスでもう一度磨くと、錆びや汚れの予防に役立ちます。
弦が劣化したら張替えが必要
ギターの弦はこまめにお手入れしていれば寿命が延びますが、やはり長期間使っていると経年劣化が進んでしまいます。
音が何だかぼやける、立ち上がりが悪いといった違和感や不具合を感じたら、弦が劣化してきたサインです。
古い弦をつけたまま弾いていると、汚れや錆びがフレットにまで影響し、ギター全体の劣化につながってしまう可能性がありますので、1~3ヶ月に1回を目安に弦の張り替えを行いましょう。
ギターの弦は太さ・材質によってさまざまな種類がある
ギターに使われている弦は、太さや材質によって複数の種類に分類されます。アコギとエレキでは、使用する弦の太さ、材質がそれぞれ異なりますので、自分の使用しているギターに合った弦を選ぶ必要があります。
初心者のうちは弦を押さえるのに苦労しますので、慣れるまでは一番細い弦を選ぶのがおすすめです。材質は好みもありますが、最もポピュラーなもの(アコギならブロンズ弦、エレキならニッケル弦)を選んでおけば問題ないでしょう。
弦は消耗品ですので、少しでも長く使えるよう、定期的にメンテナンスすることを心がけることが大切です。
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