ベース演奏で左手をスムーズに動かすためのトレーニング
弦の押さえ方
2021/06/08
ベースは左手で弦を押さえ、音程を変えたり、音を消したりして演奏します。そのため、左手がスムーズに動くことは、美しく歯切れのよいベース音を奏でるための必須条件と言えるでしょう。
左手が動くようになるトレーニング方法と、スムーズに動かすコツを解説します。
ベース演奏のための左手トレーニング4選
ベース演奏で左手をスムーズに動かすための簡単なトレーニング方法を4つご紹介します。
1. 正しいフォームで弦を押さえる
左手をスムーズに動かすためには、正しいフォームを身に着けることが重要です。
ここでは、1フレットを各指で押さえる「4フレット4フィンガー」のフィンガーフォームをご紹介します。
- 両手の力を抜いて、手の甲がアーチを描くようにする
- 親指はネック裏側の中央付近に置き、ネックを握りこまないようにする
- 人差し指・中指・薬指・小指で1フレットずつ、4フレット目まで押さえる
- 弦は爪と指の腹の中間部分で押さえる(指の腹で弦を押さえない)
以上のように、手には無駄な力を込めず、指先でフレット付近の弦を押さえるようにしましょう。
手に力が入ってしまうと、指が動かない、音が安定しない原因となってしまいます。
また、無理な力がかかった状態で長時間練習を続けると腱鞘炎など怪我の原因にもなります。
まずは基本のフォームを意識してトレーニングを開始しましょう。
2. クロマチックスケールで運指力を鍛える
基本フォームが出来たら、左手の指運びを鍛えるクロマチックスケールを練習してみましょう。
練習の際は、メトロノームを用意してください。
一定のテンポで安定した音量を正確に出せるように訓練しましょう。
4弦1フレットから始めて1周目は下記のように指を動かしていきます。
- 4弦1フレットを人差し指で押さえる
- 4弦2フレットを中指で押さえる
- 4弦3フレットを薬指で押さえる
- 4弦4フレットを小指で押さえる
- 3弦1フレットを人差し指で押さえる
- 3弦2フレットを中指で押さえる
以下、同じ要領で、1弦4フレットまで押さえていきましょう。
全て終わったら次は逆の要領で押さえていきます。
- 1弦4フレットを小指で押さえる
- 1弦3フレットを薬指で押さえる
- 1弦2フレットを中指で押さえる
- 1弦1フレットを人差し指で押さえる
- 2弦4フレットを小指で押さえる
4弦1フレットまで戻って1周とします。
2周目は4弦2フレット、3周目4弦3フレットからスタートし、3周目で練習は終了です。
この方法で運指力とリズム感を効果的に鍛えられます。
初心者だけでなく上級者のウォーミングアップにもおすすめの練習です。
3. 簡単なフレーズを練習する
運指に慣れてきたら、好きな曲を弾いたり、かっこいいフレーズの練習をしたり、ベースを楽しめるトレーニングも取り入れましょう。
基礎練習も大切ですが、単調なため飽きてやめてしまっては練習になりません。
実践的で楽しいトレーニングも取り入れて、左手の指使いに慣れていきましょう。
4. 指力はフィンガートレーナーで鍛える
ベースの弦を押さえるためには、握力ではなく“指で押さえる力”が必要です。
中指や小指だと上手く弦が押さえられないなら、「フィンガートレーナー」を使って指力を鍛えてみましょう。
ベース演奏に必要な4つの指のトレーニングになるほか、指ごとに強度の調整もできるため、弱い指を集中的に鍛えることもできます。
1台持っておくと左手トレーニングに役立つでしょう。
ベース演奏における左手の役割は音の決定と消音
ベースは左手で出る音を決めています。
さらに、ミュートやゴーストノートなど、独特な演奏法も左手が担っています。
音を決める
ベースは左手で4本の弦と各フレットを押さえることで「CDEFGAB(ドレミファソラシド)」の音と、その半音を出します。
また、押さえ方によって単音だけでなく、コードを演奏することもあります。
ベースで正しい音を出すためには、左手の操作が大変重要です。
ベースは左手で音を決めて、右手で音を出したり、リズムを取ったりする楽器と言うことができるでしょう。
音をミュートにする
ベースで出している音を消す「ミュート」は左右どちらの手でもできますが、左手で行うこが多い方法です。
ミュートのやり方は、弦を押さえず、指が軽く触れるようにするのみです。
これで音を消すことができます。
譜面の休符で使うだけでなく、余計な弦が鳴って音が濁るのを防ぐ、音を短く区切るなど、演奏シーンで多用される大切なテクニックです。
ゴーストノートでグルーブを作る
ゴーストノートは、譜面では「×」記号で表されます。
弦を押さえずに軽く触れる“ミュート”の状態にしたまま音を出す方法で、実音を出さずにアタック音のみ出す方法です。
ゴーストノートをフレーズに取り入れることで、リズミカルでノリの良い印象になり、演奏ではグルーブ感を生み出すことができるテクニックです。
ベース演奏で左手をスムーズに動かすコツ
ベースの演奏で左手をスムーズに動かすためには、左手の動かし方を工夫することがポイントとなります。
フレットから指を浮かさず演奏する
ベース演奏で左指を移動するときは、極力、左指を弦から浮かさないように注意しましょう。
フレットや弦から指が浮きすぎると、見た目が悪いだけでなく、音を変える瞬発力にも欠けてしまいます。
これとは逆に、フレットと指の距離が近い状態なら、それだけスムーズに次の音に移ることができるでしょう。
フレットから指を大きく離して音を変える演奏方法をしているなら、早いうちに矯正するようにしましょう。
大きな移動はスライドするようにする
3フレットから5フレットなど、左手の大きな移動が必要な演奏では、フォームは固定したまま、スライドするようにポジションを変更しましょう。
このとき、ネックから左手を離してフレットを押さえに行くような奏法だと、テンポの速い曲では音の変更が追いつかなくなります。
左手はすぐにフレットを正確に押さえられるよう、フォームを固定したままま、弦の上を滑らせるように移動しましょう。
テンポを上げて練習する
指運びをスムーズにするためには、やはり基礎練習が効果的です。
その際、ずっと同じテンポではなく、慣れてきたらテンポを上げていくのが練習のコツです。
最初はBPM60くらいから始め、最終的にはBPM100で正確に指が運べるように練習してみましょう。
また練習の際は、今のテンポが完璧になってから、BPM5~10など無理のない範囲でテンポを上げていきましょう。
ルート音の位置を覚える
最後に、もし、ベースの音の位置が曖昧なら、まずは5フレット目までの音を覚えてしまいきしょう。
ルート音の「C~B」は、ピアノの「ドレミ」と同じため、どこを押さえると何の音がなるか理解していないと、スムーズな演奏は難しいでしょう。
ルート音を覚えたら、ベースの基本的なコードも覚えるとなお良いでしょう。
基礎トレーニングを反復して、左手をスムーズに動かせるようになろう!
ベースの演奏では左手のスムーズな動きが不可欠です。左手を動かせるようになるには、クロマチックスケールやフレーズの演奏など基礎練習をしっかり行うことが効果的です。
とは言え、ベースの正しい指運びが出来ているか自信がない、ルート音の位置も分からないという場合は、独学で練習するより、正しい方法をプロから教えてもらったほうが良いかもしれません。
ベースの上達を目指しているなら、ミュージックスクールの受講も検討してみましょう。